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海外で生まれた日本人の赤ちゃんの国籍留保

更新日:2023年5月10日

海外で出産を控えている方、いらっしゃいますか?

生まれたら出生届けを出さなくちゃ、ということになりますね。住んでいる国にも、父の国にも母の国にも、となると出産前後の忙しい時期にやることはたくさん重なります。


日本には、海外で生まれた日本人の子を対象とした「国籍留保制度」という制度があります。在外公館に出生届けを出す時に、日本国籍を留保しますという届けも同時にするものです。


しかしこの制度、かいつまんで言えば、

日本人の子であっても、海外で生まれ、出生により外国籍を取得している場合は、出生日から3か月以内にきちんと国籍留保の手続きをしないと、生まれつき日本国籍を持っていない扱いになる

ということです。3か月以内ってとても短いです。知らないでいたら、あっという間に経ってしまいます。


届け出をするのが一日でも遅れると、生まれた赤ちゃんには日本国籍が与えられません。親の戸籍にも、載りません。とても厳しい現実です。日本戸籍には婚姻した外国籍の配偶者の名前は載せられるのに、そのふたりの嫡出子である赤ちゃんは、まるで存在していないかのようになってしまうのです。


海外で生活して活躍する邦人は、この節たくさんいます。日本に住んでいないからといって、日本人をやめたいと思っているとは限りません。将来、日本にルーツのある若い世代が日本人として世界で生きていこうと思った時、日本国籍の維持を難しくするような法律がどうしてそのままになっているのでしょうか。


親がこの制度を知らなかったために、日本人のもとに生まれた赤ちゃんに日本国籍がないままになってしまったという悲劇を見聞きします。届け出期間に関しても、3か月とは言わずせめてもっと長くしてあれば救われるケースもあるでしょうに。


国籍留保制度を周知徹底する努力を、在外公館にはお願いしたいところです。また、海外で出産される家族の方々にこの制度をよく知っていただきたいと思います。そしてできれば、国民の求めに沿った法改正がなされればなお良いだろうと思います。


日本人親のところに生まれてくる赤ちゃんが、日本国外で生まれたとしても容易に日本国籍を保持できるように願っています。情報を広げていきましょう!



  • 海外てつづきナビというサイトに出生届と国籍留保届の詳細が書かれています。


  • 当会の記事に戸籍法第百四条の規定についてなど掲載があります。出生届は郵送でも提出できます。



最後に、会員の体験談の抜粋をご紹介します。


昨年の9月末に娘を出産しました。早産で11週も早く緊急帝王切開で誕生させることになってしまいました。無事に誕生しましたが、娘は極低出生体重児その後2か月クリニックに入院していました。高齢出産で、出産前に1か月以上もクリニックで寝た切り生活をしておりましたので、心身ともに極限状態でした。
そんな中、何とか出生届だけは!と頑張れたのも、「出生後3か月以内に届けをださなければ、日本の国籍は取得できない」とこの会を通じて知っていたからでした。「クリスマスまでには必ず済ませなければ!」と娘が入院中から書類の準備を進めて、退院後の12月初旬に、その日は夫に仕事を休んでもらい、何とか出生届けを提出することができました。
今思えば、もしも出生届の提出期限が3か月だと知らなかったなら、あんな大変な状況の中、無理をして提出することはできなかったと思います。知っていて、本当に良かった!です。

体験談全文や他のかたの体験談や感想、新聞記事など、留保制度に関する情報が、2015年5月発行の会報誌第359号に載っています。会員の方はログインして会報誌のページからお読みください。


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