フランス編 日本旅券申請「外国籍の有無」の欄の記載の仕方
- トルン紀美子

- 3 日前
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更新日:1 時間前
―日本人同士の両親からフランスで生まれ成人時にフランス国籍を付与された人の日本パスポート申請について

フランス民法第21-7条には「フランスで外国人の両親のもとに生まれた子どもは、成年に達した時点でフランスに居住し、かつ、11歳から継続してまたは断続的に5年以上フランスに常居所を有していた場合、その時点でフランス国籍を取得する」とあります。この規定に該当する人(例えば両親が日本人でフランスで出生し、上記の居住条件を満たしている者)は、成人時にフランス国籍を自動的に持つことになります。その時点で日本の国籍も持っていた場合、日本のパスポートを申請する際には、「外国籍の有無」の欄にはどのように記載したらいいのでしょう。
通常、出生地主義の国(アメリカ・カナダ・オーストラリアなど)で生まれた場合は、「どのような方法で取得しましたか」の質問には「外国での出生」にチェックを入れ、取得年月日も出生年月日と同じになります。しかしフランスの場合は、フランス国籍を取得するのは成人に達した時です。この場合の外国籍取得の年月日をどのように記載したらいいのか、また日本旅券申請の際のトラブルを回避するにはどうしたらいいのかを、在フランス日本国大使館領事部に質問し、下記のような回答をいただくことができました。
在フランス日本国大使館領事部からの回答:
ご照会の件につきまして、両親がともにフランス以外の国籍の方で、フランス国籍をお持ちの方におかれては、パスポート申請時にフランス国籍証明書(certificat de nationalité française)を提示していただくことになっております。
(当館HP「パスポートの新規発給(切替の場合を含む)→フランス国籍をお持ちの方について」ご参照。 https://www.fr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/pass-shinki.html )
パスポートの申請書の取得年月日欄には、フランス国籍証明書に記載されているフランス国籍取得日を記載いただき、取得理由欄は「外国での出生」にチェックをお願いいたします。(加えて、その横の余白に「成人時に取得」と記載いただいても結構です。)
国籍取得年月日が生年月日と一致していなくとも、差し支えございません。国籍証明書にはフランス国籍取得に至った根拠法令等も記載されているはずですので、申請時に右証明書をお持ちいただき、日本国籍が喪失されていないことが確認できれば、パスポート申請における国籍にかかる部分で、特段の問題が生じることは想定されておりません。パスポート申請は、実際に提出された申請書と必要書類を全て拝見した上で審査にあたります。
窓口にて必要書類及び疎明資料等をご提出いただき、審査の過程で確認事項がございましたら、その都度、当館からご連絡させていただいております。
参照:
フランス民法 第21条
第21-7条
Article 21-7
Tout enfant né en France de parents étrangers acquiert la nationalité française à sa majorité si, à cette date, il a en France sa résidence et s'il a eu sa résidence habituelle en France pendant une période continue ou discontinue d'au moins cinq ans, depuis l'âge de onze ans.
Les tribunaux judiciaires, les collectivités territoriales, les organismes et services publics, et notamment les établissements d'enseignement sont tenus d'informer le public, et en particulier les personnes auxquelles s'applique le premier alinéa, des dispositions en vigueur en matière de nationalité. Les conditions de cette information sont fixées par décret en Conseil d'Etat.
フランスで外国人の両親のもとに生まれた子どもは、成年に達した時点でフランスに居住し、かつ、11歳から継続してまたは断続的に5年以上フランスに常居所を有していた場合、その時点でフランス国籍を取得する。
裁判所、地方自治体、公共機関、公共サービス、特に教育機関は、国民、特に第1項の規定が適用される人々に、国籍に関する現行規定を周知させる義務がある。周知の条件は、国務院令により定められる。(Google 自動翻訳により翻訳)
また、フランス民法の第21-11条には「フランスで外国人の両親のもとに生まれた未成年者は、16歳から自身で裁判所に出向きフランス国籍を申請することができる」とあります。申請の時点でフランスに住所を有し、11歳以降少なくとも5年間連続または断続的にフランスに常居所を有していることが要件です。
同様の条件の下「フランスで外国人の両親のもとに生まれた未成年の子は、8歳からフランスに常居所を有するという要件を満たしていれば、その未成年者の同意のもとに親権者を代理に立てて、13歳からフランス国籍を申請することができる」とあります。
このフランス民法第21-11条によってフランス国籍を取得した場合は、当然取得ではなく、志望取得なので、日本の国籍法第11条1項に抵触し日本国籍を失ってしまいますのでご注意ください。
参照:
第21‐11条
Article 21-11
L'enfant mineur né en France de parents étrangers peut à partir de l'âge de seize ans réclamer la nationalité française par déclaration, dans les conditions prévues aux articles 26 et suivants si, au moment de sa déclaration, il a en France sa résidence et s'il a eu sa résidence habituelle en France pendant une période continue ou discontinue d'au moins cinq ans, depuis l'âge de onze ans.
フランスで外国人の両親のもとに生まれた未成年者は、16歳から、第26条以下に規定された条件の下、宣言の時点でフランスに住所を有し、11歳以降少なくとも5年間連続または断続的にフランスに常居所を有していた場合、宣言によりフランス国籍を主張することができる。(Google 自動翻訳により翻訳)
Dans les mêmes conditions, la nationalité française peut être réclamée, au nom de l'enfant mineur né en France de parents étrangers, à partir de l'âge de treize ans, la condition de résidence habituelle en France devant alors être remplie à partir de l'âge de huit ans. Le consentement du mineur est requis, sauf s'il est empêché d'exprimer sa volonté par une altération de ses facultés mentales ou corporelles constatée selon les modalités prévues au troisième alinéa de l'article 17-3.
同様の条件で、フランスで外国人の両親から生まれた未成年の子は、8歳からフランスに常居所があるという条件を満たしていれば、13歳からフランス国籍を主張することができる。ただし、精神的または身体的能力の障害により意思表示が不可能な場合を除き、その未成年者の同意が必要である。これは、同条第3項に定める手続きに従って決定される。(Google 自動翻訳により翻訳)
第26条
Article 26
Les déclarations de nationalité souscrites en raison soit du mariage avec un conjoint français, en application de l'article 21-2, soit de la qualité d'ascendant de Français, en application de l'article 21-13-1, soit de la qualité de frère ou sœur de Français, en application de l'article 21-13-2, sont reçues par l'autorité administrative. Les autres déclarations de nationalité sont reçues par le directeur des services de greffe judiciaires du tribunal judiciaire ou par le consul. Les formes suivant lesquelles ces déclarations sont reçues sont déterminées par décret en Conseil d'Etat.
Il en est délivré récépissé après remise des pièces nécessaires à la preuve de leur recevabilité.
第21条2項に基づきフランス人の配偶者との婚姻、第21条13項1項に基づきフランス人の尊属であること、または第21条13項2項に基づきフランス人の兄弟姉妹であることに基づく国籍の宣言は、行政機関が受理する。その他の国籍の宣言は、司法裁判所の司法登記局長または領事が受理する。これらの宣言の受理手続きは、国務院令で定める。受理証明書類は、受理の根拠となる書類を提出することにより発行される。(Google 自動翻訳により翻訳)
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在フランス日本国大使館のホームページより
【パスポートの新規発給(切替の場合を含む)】のページから
必要書類5
フランス滞在許可証(提示)
※申請者が未成年の場合には、DOCUMENT DE CIRCULATIONを提示してください。(乳幼児の場合で、所持していない場合は不要)
※フランス国籍者など、フランス滞在許可証を所持していない場合は、国籍を有する国のパスポートあるいは身分証明書を提示してください。
フランス国籍をお持ちの方について
フランス国籍者で、両親がともにフランス以外の国籍の場合は、フランス国籍証明書(certificat de nationalité française)を提示してください。
なお、日本国籍を喪失した方(注)は、当然ながら、日本のパスポートを取得できません。
※注:自己の意思による外国国籍の取得(外国への帰化等)、日本と外国の重国籍者による外国国籍の選択または日本国籍の離脱等を行った場合には、国籍法の規定に基づき、日本国籍を喪失します。ご不明の点等がありましたら、当館にお問い合わせください。
【国籍の選択/国籍の喪失について】のページから
重国籍となるのはどういう場合?
重国籍となる例についてはいろいろな状況が考えられ、フランスにお住まいの方によくある例としては、以下のような場合が挙げられます。
1.日本人の父または母と、外国の国籍を有する母または父との間に生まれた子の場合(3ヶ月以内に出生届を出している場合)
2.両親はどちらも日本人だが、フランスで生まれ18歳になった時点でフランス国籍を自動的に付与された子の場合
※ただし次の例のように自己の意思でフランスもしくは外国の国籍を取得した場合は、その時点で日本国籍を失う(「国籍の喪失」)ため重国籍となりません。
1.1973年以降にフランス人と婚姻し、自らの意思でフランス国籍を取得した場合
2.フランスで生まれた日本人同士の子が18歳に達する以前に、自らの意思でフランス国籍を取得した場合
※この場合は、フランス国籍取得後3ヶ月以内に国籍喪失届を提出する必要があります。以下「2.国籍の喪失」を御参照ください。
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