2023年も押し詰まってまいりました。
12月22日、「国籍はく奪違憲訴訟 京都発@大阪」第5回公判の報告をさせていただきます。
原告のSさんは世田谷区役所で国籍喪失届が受理されず「不法滞在」状態となり、あらためて京都で国籍喪失届、在留許可申請を提出し、受理され5年の在留資格を得ました。しかし、原告には落ち度がないことが考慮され5年前(世田谷区で不受理)にさかのぼってこの資格を得たこととし、残るは4か月とされました。(不法滞在期間はなかったこととするが、実態としては残たった4か月の在留資格を得たということ・・)
この現状を踏まえて原告側の準備書面の内容の変更があり、次回はこれに対する国側の反論が提出されます。
2月28日11:30の日程が決まりました。
第5回公判そのものは、日程調整だけで5分ほどで終了しました。
(国側の代理人数人が東京から出張し、前回と同じく公判が5分に満たないような裁判進行にはやはり疑問を禁じえません・・・)
原告側の主張(変更後の準備書面)は
①本人の意思に反して日本国籍をはく奪する国籍法11条1項は、違憲であること。
➁世田谷区役所が、原告の国籍喪失届を受理せず(カナダの書面に日付がないことを理由に)、不法滞在外国人とされたことの違法性。
の2点にしぼる。
原告が、不法滞在外国人とされ、さまざまな不利益を受けた事による国家賠償を求める。
(世田谷区の対応によっての「不法滞在期間」は無かったこととする」という判断は、すでにこの対応が違法なものだったことを認めていると言えるのではないでしょうか?)
傍聴には、福岡から近藤ゆりさんも駆けつけてくださり、裁判終了後にランチをしながら、交流と意見交換の時間を持ちました。
福岡訴訟では、「日本国籍の喪失については本人の意思をできる限り尊重することが必要である」とし、国籍とアイデンティティの関わりに言及する文章が判決に加わりました。裁判での敗訴が続いていることに不安を禁じえませんが、判決内容は前進しており、これをほかの裁判にも活かしていきたいと、近藤さん、仲弁護士から報告されました。
また、多くの事例を挙げていく中で具体的に国籍法11条1項の違憲性を明らかにしていくために、具体的なケースを挙げての国会質問を議員に働きかけてはどうか。また海外メディアへの働きかけなど、法廷外での幅広い働きかけが必要ではないか。法廷外でのさまざまな動きを各地で工夫しながら行っていきたいと話し合いました。
2023年の年の瀬、寒さの中で命がこれ以上失われないことを切に願いながら、できることをあきらめずに、そして楽しく続けていきたいものです。
(2023年の年末に発表された記事です。執筆者は西日本会員の蒔田直子さんです。)
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