『「素顔の国際結婚」の今』に寄せられた感想とお礼のメッセージ
- リード眞澄

- 8月2日
- 読了時間: 11分
更新日:8月7日
『「素顔の国際結婚」の今』好評発売中!そして、今年度末までは、特別価格で購入できます。追加注文の方などはぜひご利用ください。記事の下にあるファイルをご覧ください。
この本を読まれた皆様から編集委員宛に多くの感想文が寄せられました。ご紹介させていただきますので、どうぞお読みください。
読者の皆様の感想文
1. 力作ですね。特に4章で知らなかった事を教えてもらいました! それに、皆さんがそれぞれの個人的なお話をよくここまで書いてくださったと思います。
2. おもしろかったです。韓国の兵役のところ…なんとなく知ってはいたけれど、ああ、こうなっているんだ!って、よくわかりました!
3. 家族史の記録が読みどころ。国籍法の改訂を求める会の活動記録。「40年前と」の構成は面白いが本質的な部分はあまり変わっていない。
4. とっても素晴らしい本ですね。この本のおかげで夫の気持ち、自分たちがやらなければいけない手続きに気づかされました。このままだと大変な事になったかも💦この本に出会えて本当によかったです。ありがとうございました!
5. 皆さまの生の声、それぞれのライフヒストリーがコンパクトにまとめられていて、それぞれの方々の人生を垣間見させていただくだけでなく、国際結婚や異文化の中に身を置くのはどういったことなのか、社会的制度やそれぞれの国の事情もトピックごとに整理されていて、とても読みやすくて勉強になります!
6. 色々な地域・年齢層の方々、結婚生活を今も続けられている方、そうでない方、伴侶の方が亡くなられた方などのご経験やご意見などが網羅されており、大変啓発されました。この新刊書を、たまたま来日しておりました私の長女(米国人と結婚して、主人及び二人の子供と一緒に現在アメリカに住んでおります)に見せたところ、思うところがあったのか徹夜で読んでおりました。
7. 早速拝読させていただき、色々と共感したり、勉強になったりすることがあって、感謝しています。個人的に心に残ったのは、2章のTさん、3章のMさん、4章のSさんのお話でした。その他の方々も皆さま、海外に行ったからこそ、あるいは国際結婚をしたからこそ日本の文化について客観的に見たり考えたりすることができるという事に共感させていただいたと共に、悲喜交々色々ありながらも、前向きなお言葉の数々に、感銘を受けました。
8. 最初からちょっと感じた違和感?と言えるか分かりませんが、夫となる側の男性の登場が少ないと思いました。最初の座談会の中に出てくる方、それから5章のブラジルの方。国際結婚というとどうしても妻の方が不利に扱われることが多いからかもしれませんが。夫の側からの考え方ももう少しあったらよかったかなと思いました。
国際法の煩雑さは、さっと目を通したくらいでは理解できませんでした。
自分の年齢的なこともありますが、シニアライフの迎え方の章は、一番考えさせられました。相手の親族とのつき合い方、相続のことなど、いろいろなケースがありますね。
より多様化が進む国際社会、この先さらに多くの国々との国際結婚が進むと思われます。もし続編ができるとしたら、今回とはまた違う国の方の取材もお願いしたいです。感想と言えるほどの意見が言えなくて…失礼な意見ばかりで申し訳ありません。
9. 全体として、率直な経験談が多いためか、身近で直接お話を聞いているような読み易さがありました。
内容的に第一章の新婚の方たちのお話については、国の違いによる差は勿論、確かにとても大きいと思います。ただ、新婚の時期はまだ、お互いの生活など諸々の擦りあわせの時期ですから、普遍的な部分も若干あるかな、と思いました。
皆さん、子育てでのご苦労が大変でいらしたようですね。海外の教育環境だったり、国内でも、ご主人との考え方の違いがあったりと。その頃に、同じ立場、または、近い立場の方々に相談できれば気分的に息がつけたのに、と思いました。その場がなかったことが残念です。
今は、スマホあり、PCありで、世界が近くなり、会を立ち上げられた方々の頃と比べると、随分コミュニケーションとか情報が取りやすくなってきたと思います。でも、旅券やビザの申請や国籍問題など、まだまだ、難問が山積していることを知りました。
心配していた子供たちは、これからの時代を自分たちの力で逞しく乗り越えて、進んでいってくれることと思います。そして、もうその次世代が育ちつつありますものね!
この間、伺ったお話が、本を読んでみて、体系的にわかりました。色々と経験して、考えに考えて、今があるのですね。
10. 「40年前」と「今」、面白い構成です。国籍法など制度の一部は改正されて、一見「間口」は広くなっているようだけど、本質的な部分はあまり変わっていない。「その時」を書いているものは数多あるけど、「その後」まできちんと同じ視点からフォローし、それを生(ナマ)の言葉で記録しておくのは貴重な機会だと思います。(中略)
その「変わっていない」部分が、制度の問題なのか、それとも国民性なのか…。国際結婚って、まだ〝特別〟なものなのでしょうか。仕事柄もあってアジア・オセアニア、欧州、アフリカの国々を歩き見る機会がありました。「国際結婚」という概念が強いのはアフリカ、次にアジア。逆に、そんな概念が少なかったのが北欧諸国だった印象があります。
1960年代、海外に出る日本人が急増していました。ロンドンに4年ほど駐在したこともあって、60代、70代になった英国人と結婚した日本人女性を取材して企画原稿に仕立てたことがあります。その中で、彼女たちの「もう両親も亡くなり親族とも疎遠になり(日本に)帰りたくても帰れない」という言葉が印象に残っています。国際結婚に対するかなりの世代間ギャップもある感じです。(中略) ご著書を拝読し、改めて「国際結婚」、もっといえば「国際」という言葉を意識しました。
日本ではいまだに「外国人」「外人」という言葉があります。その中でも、欧米系なのかアジア系なのか、白人系なのか有色系なのか…、そんな〝区別〟が厳然と残っているような印象を受けることもあります。(中略)
これだけ在留外国人が増えてきて、彼ら彼女らがいなければ成り立たない社会になりつつある。ご著書を拝読し、ご著書の趣旨とは異なるのでしょうが、「国際」「外国人」ということに引っ掛かってしまいました。
11. 文字の大きさや行間隔を見て、校正作業が非常に艱苦されただろうな、と思いました。御苦労様でした。出版社の方針なのかもしれませんが、句読点と改行の少なさが目立ちました。ルックスは大事なんです。句読点や改行が少なく文字が小さいと「昭和の論文集」といった感じになってしまいます。その意味では、本書は、普段から読書を習慣にしていない人にとっては読み進めにくいかも知れません。
早速、「はじめに」を読ませていただきました。名文だと感じました。筆者の心象が落ち着いて順序立ててつづられています。文中に「たまさか」ということばを見つけ(4ページ3行目)、おもわず「この筆者は語彙が豊富だ。きっと面白い文章を書かれるに違いない」と期待した次第です。事実、読み応えがありました。残念だなと思ったのは、「はじめに」と「おわりに」の文章の位置付けをもう少し計算したらよかったのに、という点でした。特に、本書を「どんな人に読んでもらうことを前提にしているか」という点はどう計算されているのかが知りたくなりました。わたしが出版プロデューサーとして関わっていたなら、「想定する読者像」を何度も確認しながら、文章とデザインを当てはめていったとおもいます。読者は・国際結婚をしている方・国際結婚をする可能性のある方・「国際結婚」にまつわる諸問題に興味関心のある方に分けられるかと思います。誰に対する文章かがはっきりしないと読者はついてきません。 読者を想定した上で、「体験談」「問題提起」「解決への提案」「未来予想」「日本政府への懇願」と内容の色分けをした方が読者が増えるのではないかとおもいました。
つまり「はじめに」を端的にまとめ、「読みたい気持ち」を増幅させてほしいなあとおもいました。(言うは易し、ですが)。(中略)
読んでいて、つい止まったり、調べたりしなければならなかったのは、国籍法や憲法に何がどう規定され、どんなふうに暮らそうとした時にどう不都合が生じたのか。どんなことに、なぜ、不安を抱かれたのか、もっと整理しながらも、もう少しページを割いてもよかったように感じられました。
法律については本文の59ページと60ページに記載されていますが。読んでいて感情移入したのは「永住ビザ却下と帰化申請」の節です。記載されていた「怒りの気持ちが湧き上がってきました」(89ページ)というくだりは読んでいるわたしも頭に来ました! 帰化申請に必要な書類の多いこと!やはりなぁ、という感想をもちました。
このご苦労だけは、わたしにも非常によく理解できました。当事者になって初めて、日本人として「普通の日本人」から「普通でない日本人」になるのは実に大変なことなんだということがわかりました。はっきり言えば「普通でない日本人」は切り捨ててしまいたいかのようで、まるで「生存していてはいけない」とおもわせたいのかなとさえ感じました。
12. 本書『「素顔の国際結婚」の今』は、30名に及ぶ国際家族当事者の生の声を集め、7名の編集委員による2年の歳月をかけて編まれた貴重な記録集である。国籍・文化・言語の壁を越えて結ばれた家族が、どのような喜びや困難、そして社会制度との衝突を経験しているのか──その「素顔」を、具体的なエピソードを通じて浮かび上がらせている。若い世代の対話から始まり、見えない国籍の壁、家族としての歩み、老後の選択、そして第二、第三世代のアイデンティティの模索まで、多層的な視点で「国際家族」の現在を描き出す本書は、単なる体験談の寄せ集めにとどまらず、現代日本社会が抱える制度的課題や文化的偏見を鋭く照射している。
本書の各コラムが共通して明らかにしていくのが、各個人(individual/identity)を国(national identity)の制度/枠組みが揺さぶる姿である。近代における国民国家の成立に統計学(statistics)の確立があったことはすでに多く語られている。国家が教育、兵役、税金というサービスを授受する際に、計算可能な個人を「国民」という枠組みで明確に定義し、その存在を把握し、管理し、必要に応じて動員する必要があった。例えば、日本ではこれに答えるべく、国籍制度が整備され、出生や血統に基づいて国籍が自動的に与えられる仕組みが導入された。これによって、徴税、徴兵、教育など、国家の権限が誰に及ぶかが明確になっていった。この時、国家が求めたのが、その誕生(出生届)から結婚(入籍届)、死亡(死亡届)を同じ1人のデータ=国籍として管理することである。重複(二重国籍)、欠如(無国籍)、変化(国籍離脱、帰化)を例外とするのは、そのためである。よって国家は2つのidentity(national/individual)を同一化identifyさせようとする。そのとき、本書に登場する国際結婚の当事者である個人は揺さぶられるのである。
揺さぶられるのは、日本出身の本人、配偶者、そして子どもを中心とする家族である。この三者はその家族の原点=国際恋愛の時点から、2つ以上の国家の真ん中にいる。やがて、それぞれのレベル、条件の下でこの3者は国家から同一化を迫られる。それは国民国家の根幹制度である、国籍、教育、保険(年金、介護)、徴兵の場面においてである。それらの機会を迎える中で、悩み、解決を図り、失敗し、成功し、個人としてそして家族としての妥協点を見いだしていく家族史の記録が本書の読みどころである。書かれるエピソードはひとつとして同じではなく、このIdentitiesのIdentificationに関わるユニバーサルな解決策は存在しないということである。国の違いから、どの場面(国籍、教育、保険、徴兵)で、誰が何歳でそれを迫られるか、どのようなpersonalityの家族がどの時間スケールでそれを乗り越えるかは、千差万別である。多くの場合で、真ん中にある個人の心をどちらかに寄せる/あるいは両立を維持する過程で、内面に大きな負担がかかってきたことが伺える。調整、統合を図ることも、隠蔽、否認することも可能である。それが家族の維持に影響を大きな影響を与えることも書かれている。さらに、本書は日本語話者が日本語で日本語読者に向けて書いているが、その視点、内面、素顔が配偶者、子どもたちと別言語で共有できるかどうか、それも筆者たちの抱えてきた別の悩みであることが言外に読み取れる。
本書のもう1つのテーマは抑圧としてのIdentificationを緩和すべく国籍法の改定を求める国際結婚を考える会の活動の記録である。しかし、国家の腰は重い。国民の概念はそのはじめから統計学的に管理可能なラベルに過ぎないので、そのラベルの管理を国家間で法的に共有すれば重複(二重国籍)、欠如(無国籍)、変化(国籍離脱、帰化)は本来技術的に可能であるはずなのに、である。私がそこに見るのは国家が強いから抑圧するのではなく、むしろ国籍の例外を認めた場合に、国民のラベルはかりそめの幻想であり、あらゆる国家は実験国家であるのにもかかわらず、揺るがないIdentityを装っていることが遡及的に暴露されることを恐れる弱い国家だからである。自らのIdentityが弱いが故に、おそらく国家は、抑圧的に個人のIdentityの規定を求め続けるのである。
13. 全体を通して読めば国際結婚された方々がいかに重国籍が容認されないことで不自由なのかがよくわかる内容です。
14. 日本語教育情報プラットフォーム「にほんごぷらっと」の編集長の石原進氏にもお贈りしたところ、すでに全部を読んでくださって、ウェブサイトで詳しく本の紹介をしてくださっています。「『素顔の国際結婚』の今」を読んで 国籍法と国際家族のあり方を考える
15. 日本国内でしか暮らしたことのない人たちや、国際的な家族関係など自分には縁がないと思っている人たちにも、現実に起きている問題を伝えて実感してもらえる、素晴らしい内容です。早速、中からエッセイをいくつかピックアップして、最高裁に証拠として提出させていただきました。この本の出版を世論喚起になんとしても活かしていきたいですね。
16. アメリカのワシントンDCにある国会図書館に本を送り、お礼のメールが届きました。
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January 24, 2025
I am writing to acknowledge receipt of your gift to the Library of Congress. Thank you for your kind offer to the Library of Congress.



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