日本パスポートの発給申請の際に旅券発給申請用紙に必要事項を書き込んで提出します。ここのとき、「外国籍の有無」の欄にどう記入するか、迷う方もあると思います。
まず、この欄は必ず記入しなければならないし、外国籍を持っているのに「現在、外国の国籍を持っていますか?」の問いに、「いいえ」と答えるのは
旅券法 第23条1項「この法律に基づく申請又は請求に関する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為によつて当該申請又は請求に係る旅券又は渡航書の交付を受けた者」
に該当し、5年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられることになります。
また、その下にある「どのような方法で取得しましたか(複数選択可)」という4つの選択肢にも、虚偽の記載をすることは同様の処罰が課されます。
下記の外国籍を取得した理由の、上から三つ目までにチェックを入れた場合には、合法的な複数国籍者と認められるので日本旅券が発給されますが、一番下の「帰化申請又は国籍取得届出」にチェックを入れると、日本国籍を喪失していることになり日本旅券を発給されないことは「国籍選択制度について」の記事でもお伝えしました。ちなみに「外国人との婚姻または養子縁組」では、婚姻で自動的に国籍も付与される国籍法の国(例:イラン)などのような場合のことであり、婚姻や養子縁組により自動的に外国籍を付与されず、自分で申請しての取得であれば「帰化申請又は国籍取得届出」になります。
●外国籍の父または母の子として出生
●外国での出生
●外国人との婚姻または養子縁組
●帰化申請又は国籍取得届出
出生により複数国籍を持つ人のパスポート申請の際、通常「現在、外国の国籍を持っていますか?」には「はい」と答え、「どのような方法で取得しましたか」には、異なった血統主義の国の国籍を持つ両親から生まれた場合(例:日本と韓国)は「外国籍の父または母の子として出生」にチェックを入れます。日本人の両親から出生地主義の国(例:アメリカ)で生まれた場合には「外国での出生」、その両方である場合(例:アメリカでアメリカ人と日本人の両親から生まれた場合)は、「外国籍の父または母の子として出生」と「外国での出生」の両方にチェックを入れます。
この欄で(外国籍の)「取得年月日」を書く欄がありますが、出生による外国籍取得の場合には、ここには生年月日と同じ日付けを書くことがとても重要です。
特に日本国内で国際結婚カップルから生まれた場合、まずは日本の役所に出生届を出して、その後、外国人親の国籍国の大使館や領事館にも出生届を提出した場合、この届出をして外国籍に登録された日付を書くのかと思う方もいらっしゃることと思います。しかし、その外国の国籍法で、国外で生まれた自国民の子供にも当然にその国籍を与えるという場合には、出生したその時にその外国籍を取得しています。大使館への届け出や登録の日付けは、単なるその報告の日付けという意味合いになります。
日本の国籍法には、第11条1項で「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」という規定があり、これはたとえ未成年の子供であっても親権を持つ親が代理で行った場合にも適用されます。その該当する外国の国籍法で、出生による当然の取得ではなく、親が申請登録して初めてその国の国籍を取得すると定められている場合には、その外国籍を取得したときに、日本に住んでいながらも日本国籍を喪失してしまいます。
ですから日本の旅券センターの窓口では、出生年月日と外国籍取得の年月日が異なるなど、旅券発給申請用紙に少しでも外国籍をあとから自己の意志により取得した疑いの記載がある場合、ここの部分を検証しなければならず、その外国籍の出生証明書の提出が必要になったり、その外国の国籍法の内容を尋ねられることになります。
このようなトラブルにならないためにも、出生により当然に取得した外国籍の取得年月日は「生年月日」を記載してください。
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