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日本とドイツ間の国籍取得時の帰化通達条約(相互通報協定)について

更新日:2022年3月2日

― 国によって、外国籍を取得するとその事実を日本大使館に通報するといったことがなされているのでしょうか?何もしなくても自動的に戸籍が削除されてしまうことはあるのでしょうか? ―


日本人が外国に永住し滞在国の国籍を申請により取得したら、国籍法第11条1項の日本国籍自動喪失条項により、外国籍を取得した時点で日本国籍を喪失します。戸籍法では、その時点から3か月以内に日本に国籍喪失届を提出しなければならないことになっていますが、外国の省庁から直接日本にその事実の通達はないため、当事者本人が国籍喪失届を提出しなければ、日本側で把握することはできません。


しかし、日本とドイツの間には、日本人がドイツ国籍を、又はドイツ人が日本国籍を申請して取得した(帰化した)場合にはお互いの国にその事実を報告し合う協定があります。

相互通報協定とも帰化通達条約とも呼ばれているようです。


日本人がドイツに長く住み、ドイツ国籍を取得するための条件をそろえると、ドイツに帰化申請をすることができます。ドイツ国籍取得が許可されると、管轄の役所から連絡があり国籍取得証明書が渡されます。その時に、日本旅券をこのドイツ国籍取得証明書と引き換えに、ドイツの役所に手渡します。この没収された日本旅券は、国籍申請時にその人が提出した出生証明書(これは在独日本領事館で、日本から取り寄せた戸籍謄本提出をもとに作成されます。)の情報と共にドイツの役所からベルリンの日本大使館に送られ、日本大使館では、ドイツ国籍を取得した日本人の戸籍情報と共にその事実が把握できることになります。


何年も前には、このドイツ国籍取得の情報がその人の本籍を管轄する市町村に在ベルリン日本大使館から送られ、本人が国籍喪失届を提出するまでもなく日本での戸籍の除籍作業が自動的に進められていました。最近は、ドイツ国籍を取得した日本人の情報が日本大使館に届いたら、大使館からこの人に手紙又はメールで、国籍喪失届を管轄の領事館に提出するようにとの通知を送ることになったそうです。

国籍喪失届が領事館に提出されれば、日本の管轄の役場に送ることになるようですが、本人からの国籍喪失届がなかなか届かない場合は、以前のように国籍喪失届はないまま日本に通知され除籍作業が行われるということです。


日本旅券は、無効になってVOIDになったものでも、記録として残しておきたい場合もありますし、元日本人であったという大事な書類にもなります。しかしドイツ国籍取得証明を付与される際にドイツの役所に手渡してしまうので、どうしても日本旅券を返却してほしい場合は、国籍喪失届を管轄の日本領事館に提出する際に、日本旅券を返却してほしいという希望を領事館から日本大使館に伝えてもらい、返信用の自分への宛先を書いた封筒に切手を貼ったものを在ベルリン日本大使館に送付すれば、郵送で返却してもらえるそうです。ここまでの手続きを踏まなければ、通常は返却されないそうです。


このような情報は、在独の日本大使館や各領事館のホームページには全くお知らせをされていません。在独日本公館には是非、戸籍・国籍のページにこの情報を記載していただきたいと願っています。


文頭にも述べたように、多くの複数国籍容認国での外国籍取得では、日本の戸籍管轄の役所は本人から国籍喪失届の提出がなければその事実を知ることができないので、戸籍の除籍作業は行われません。が、日本とドイツ間はこの相互の規定がある数少ない国の一つです。他には、オーストラリアとチリが日本との間にこの条約を結んでいるとのことですが、実際にどのように運用されているのかはほとんど情報がありません。情報をお持ちの方は当会へお知らせいただけるとありがたいです。問い合わせのページへ

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