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執筆者の写真トルン紀美子

ドイツの連邦議会が全面的重国籍容認を可決

更新日:5月4日

新しい国籍法がドイツの衆議院で2024年1月19日に可決されました。これから連邦参議院に回されますが、4月には施行される予定です。


今回の改正で大きなポイントは、


1.これまで8年の滞在ののちに可能だったドイツへの帰化条件を5年(特にドイツ社会によく貢献したことが認められれば3年)に短縮。


2.これまではEU市民や一部の例外にのみ重国籍が認められていたが、今後はすべてのドイツ国籍取得者に全面的に原国籍の保持が認められる。


3.帰化条件の滞在期間5年への短縮により、これまで8年間滞在した外国籍親からドイツ国内で生まれた子供に自動的に与えられたいたドイツ国籍取得の条件も8年から5年に短縮される。


4.これまでも帰化においてドイツ憲法に書かれている自由と民主主義の規定に従うことは条件となっていたが、これがもっと具体的になり、反ユダヤ、人種差別、また性差別や性的マイノリティーに対する差別などの人権に反する行為を容認しないことが求められる。


5.今回のハマスのイスラエル侵攻において、ドイツ国内に起こったイスラエルに対する抗議行動を鑑み、ドイツの特別な歴史と、ドイツ国内へのユダヤ人の人権を尊重することへの理解と表明が必要となる。


6.これまではドイツ国籍取得に際しドイツ語の習得が必須となっていたが、ドイツの復興と発展に貢献しすでに数十年ドイツに居住しているガストアルバイターの世代に敬意を表し、この世代にはドイツ語の習得条件を免除する。


7.自身で生計を立てることが条件だが、このガストアルバイターの世代はこの条件も免除される。


8.これまでも、ドイツ国籍取得後も国籍法第35条で事実に基づかない申請条件で取得したことが10年以内に確認された場合は取得を無効にすると規定されていたが、それに加えて、自由と民主主義に基づいた憲法への表明がその後に守られていなかったことを確認した場合にも、取得を無効にすることが可能になる。


この内容はZDF(第二ドイツテレビ)の記事を参考にしました。



この全面的な複数国籍容認への改正に伴い、ドイツに帰化する外国人のみでなく、外国籍を取得するドイツ人にも、これまで必要だったドイツ国籍保持の事前許可取得の条件がなくなり、そのままドイツ国籍を保持できることになります。


ドイツ在住の日本人にも職業上の理由などでドイツ国籍を取得したい永住者はたくさんいますが、日本が国籍法11条1項の日本国籍の自動喪失規定を改正しないので、今回のドイツ国籍法改正でも全く恩恵は受けません。世界の7割以上の国が複数国籍を認めて国際影響力を確保していく中で、またここで在外邦人の生活の安定に一段と高い壁ができることになります。


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